産経新聞の報道によると、コンビニの大手5社が平成37年までに電子タグを使ったセルフレジ化を目指しているという。

 商品すべてに電子タグを取り付けて、買い物カゴを専用の台に置くと瞬時に会計をすることができる。これだけを聞くと、利用者にとっては嬉しい知らせだが、201612月以降に聞くニュースとしてはもの悲しさを覚える。

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 電子タグの取り付けによって、買い物カゴの中身が瞬時に計算がなされるというのは画期的と言える。

 人手不足の解消を目的としていることから、おそらく支払い方法も現金ではなく、レジに置かれた機械に、カードやスマートフォンをかざすことで決済する方法をとると予想される。

 

 しかしながら問題となるのは会計の後の袋詰めで、店員にしろ買い物客にしろ、カゴから商品を取り出して袋に詰めるという作業が発生してしまう。

 

 一方アメリカでは、その袋詰めすらも省いたシステムの構築が進んでいる。

 

 日本でもおなじみのインターネット通販最王手、「アマゾン」が計画する「Amazon Go」と言われるもので、これはカゴに商品を入れる作業がなく、そのため袋に移し替えるという手間もない。

 

 「Amazon Go」で商品を購入する流れは以下のようになる。

 まず、駅にある改札のようなゲートが設置されており、そこを通る際にバーコードを表示させたスマートフォンをかざして入店する。

 あとは商品棚から商品を手に取り、あるいはカバンに入れ、再びゲートを通って店を出る。これだけだ。

 店から出たあとは、Amazonのアカウント登録してある口座から引き落としが行われるため、財布を持ち歩く必要もない。

ちょっとした買い物なら、ただ、スマートフォンさえあればいいことになる。

 

 あらかじめ専用のアプリをダウンロードし、そこからバーコードが発行されるため、そのバーコードによって誰が入店したのかがわかる。

 さらに、店内に設置されたカメラが入店時から利用者をトラッキング(追跡)し、その利用者が商品を手に取ると、アプリの中の、つまりデータ上の買い物カゴにその商品が追加される。

 カメラは商品パッケージと利用者の手を識別し、他にも赤外線や音声マイク、圧力センサーなどの多数のセンサーによる情報を元にしているため、カメラだけでなく、様々な情報で利用者を多角的に見ていることになる。

 

 ゲートを通り、店を出ると「決済」ということになり、自動的に支払いが行われる。

 商品を手に取るとデータ上の買い物カゴに商品が追加、「やっぱり買わない」と商品棚に戻すとデータ上の買い物カゴからも削除されるため、万引きという犯罪もなくなるようになる。

 

 レジがない店舗、「チェックアウトレス」と呼ばれ、このチェックアウトレス化により、店員は商品を並べたり、システムに異常がないかを管理するのが仕事となる。

 

 日本の、電子タグの取り付けによるセルフレジ化が「改善」とすると、Amazonのチェックアウトレス化は「革命」と言えるかもしれない。

 

過去を見てみるといつもそうだが、車や家電製品、パソコン、スマートフォンなど、生活スタイルを大きく変える根幹となる発明は、そのほとんどが欧米によるもので、日本人のそれは少ない。

 

欧米人が「発明」したものを日本人が「改良」あるいは「進化」させることが多く、言い換えれば、欧米人が「0から1」を生み出すのが得意なのに対して、日本人は「12」にするのが得意なようだ。

 

 もしかするとそれは、欧米人の「今の状況を変える」という考え方と、日本人の「今ある状況で頑張る」という考え方の違いが、そのまま反映されているような気がしてならない。